平成26年度 Mie SSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業
研究主題:科学技術分野への興味・関心を高め将来、地域・社会に貢献できる人材育成
三重県立神戸高等学校


1 学校の概要
  (1) 学校規模
○ 学級数 : 24学級
○ 生徒数 : 961人
○ 教職員数 : 76人
○ 研究の対象学年 : 2年生・11人、1年生・9人
  (2) 学校の状況
 基本理念を「高品位な進学伝統校を目指し、不断の進化を続ける」とし、学業だけでなく、文武両道をめざし、地域社会と連携した信頼される学校づくりを行っている。そのためにも、挨拶・基本的生活習慣・服装など日々の規律ある行動がとれるよう、重点的に指導している。
 2学期制や45分7限授業を導入し、授業時間数を確保している。習熟度別少人数講座、個人面談を充実させるなど個を大切にした学校運営を行うとともに、学習指導においては基本となる授業の充実に努めながら夏休み課外、放課後課外、土曜学習などきめ細かい指導体制を整えている。
 一方で、部活動の加入率は約80%と高く、文武両道を目ざしている。将来の地域のリーダーを育てるというミッションのもと、大学進学だけでなく、生徒の将来を見据えたキャリア教育の充実を図っている。

2 研究に関する計画
  (1) 研究のねらい
 本校は地域とのつながりを大切にした進学校として、将来の地域のリーダーとなるような人材育成をミッションとしている。そのためには、地域に根ざし地域に貢献できるような人材育成を図るとともに、併せて幅広い視野を持って地域の産業等をリードできるような人材育成にも取り組んでいく必要がある。今回の研究主題設定に当たっては、幅広い科学実験や実習を通して科学への興味関心を高めるとともに、最先端の科学に関する情報に触れ将来的に地域のみならず社会に幅広く貢献できる人材の育成をねらいとした。

  (2) 計画
1) 平成24年度から平成27年度
 高い目標を持ち、理数分野の発展的な学習や実験・実習等を通して将来、科学技術分野等のリーダーとして活躍できる人材を育成する。そのために、専門的技術者等を招聘した実験や講義の実施、大学等における先端的な科学技術に関する講習会の実施、各種のコンテスト等に参加することにより、科学技術分野に対する興味・関心を高める。同時に研究成果等を効果的に伝えるコミュニケーションおよびプレゼンテーション能力の育成を図る。

2) 平成26年度分
 様々な科学技術分野に関する刺激を与えることにより、当該分野への生徒の興味関心を高めていきたいと考える。そのための手だてとして、(1)鈴鹿医療大学との連携により、医療分野を中心とした実験・実習を行う。実際に大学の研究室を訪問し指導を受けながら、成果をまとめ後日の公開でのプレゼンテーション及び協議につなげていく。 (2)名古屋大学工学部、名古屋工業大学等との連携により、研究室訪問やサイエンスセミナー等の講座に参加することにより最先端の科学に触れる。 (3)JAXAよりロケット打ち上げ業務等に長年携わられた方に来校していただき、講演を聞くことにより宇宙について興味関心を高める。また、講演にあたっては他校、地域等に広く参加を呼びかける。 (4)実際のモノづくり体験として、ロボット製作を含めたプログラミング講座を行う。
3 研究実践内容
(1) 鈴鹿医療科学大学における実験 ・ 研究
鈴鹿医療科学大学における実験・研究 薬学科
薬学科
鈴鹿医療科学大学における実験・研究 臨床工学科
臨床工学科
鈴鹿医療科学大学における実験・研究 医用情報工学科
医用情報工学科
鈴鹿医療科学大学における実験・研究 医用情報工学科
医用情報工学科

 本事業の大きな柱として、夏季休業中に鈴鹿医療科学大学にてグループ別に実験や研究を行い、その成果をレポートにまとめた。また、11月に実施した本校スーパーサイエンスデーにおいて各グループよりパワーポイントを使用し、レポートのプレゼンテーションを行った。
 一連の取組をとおして、科学への興味関心を高めるとともに、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を養うことができた。
 研究テーマは次のとおり。

医療栄養学科「“おいしい”ってどんなこと」
薬学科「ゲノムが分かれば病気が分かる!?」
医用情報工学科「信号処理―声を数値にする」 「プログラミング入門」
医療福祉学科「人の苦しみや悲しみに寄り添うことの意味」
臨床工学科「治療と医療機器」

(2) 名古屋工業大学の公開講座
名古屋工業大学の公開講座 講義:エネルギーの変換について
講義:エネルギーの変換について
名古屋工業大学の公開講座 実習:圧電発電機の製作
実習:圧電発電機の製作

 夏季休業中に行われた電気電子工学科の「この電子材料が21世紀のくらしを支える」というテーマの公開講座に参加した。

 講義 : いろいろな種類のエネルギーの変換について考える
 実習 : ビー玉の運動を電気にかえる圧電発電機を製作する
 実験 : 走査型プローブ顕微鏡で遊んでみよう

 製作においては、生徒は慣れないハンダ付けなどで戸惑っていたが、スタッフによる親切なサポートのもと、実際にLEDが光った時には達成感を味わうことが出来た。最先端の大学の研究室という環境で、様々な体験をさせていただき大変有意義な一日になった。

(3) 名古屋大学テクノフロンティアセミナー
   夏季休業中に実施されたセミナーに、グループに分かれて実習等を行った。参加した講座は以下のとおり。

ア 「エコロジーな発電装置を作ろう! 〜熱から電気を発電〜
 身の回りにはほとんど再利用されることなく捨てられている「熱」があり、全エネルギーの60%に上る。熱電変換発電は、熱から電気を取り出すというエコロジーなエネルギー有効利用技術であるが、熱電変換発電について実験を行った。

イ 「大気圧放電プラズマでオゾンを発生させよう!」
 大気圧プラズマを発生させるための放電電極を自分で考え設計・製作を行った。自作した電極を使って生成したオゾンを計測し、非平衡状態(電子とイオンの温度が大きく異なる状態)の利用について体験した。

ウ 「太陽電池でエコ発電 〜再生可能エネルギーの有効利用〜」
 太陽電池が太陽光を電気エネルギーに効率よく変換するためには、ある制御装置が用いられているのだが、今回の実験では実際に簡易型の制御装置を作り、効率のよい電気エネルギー変換を体験した。

(4) 科学オリンピック
科学オリンピック 筆記競技
筆記競技
科学オリンピック 実技競技
実技競技
 11月1日(土)、県教育委員会主催の科学オリンピックが行われ、Mie SSHのメンバーも参加した。筆記競技と、物理・化学・生物・地学の4領域について、指示された課題をグループで協力しながら作業や実験を通して解決する実技競技が行われ、本校の参加生徒も事前準備を重ねて臨んだが、残念ながら入賞はできなかった。来年度はぜひ入賞を目指して頑張りたい。

(5) 神戸高校スーパーサイエンスデー
神戸高校スーパーサイエンスデー 最終成果発表会
最終成果発表会
神戸高校スーパーサイエンスデー 大嶋先生による講演会
大嶋先生による講演会
 11月15日(土)、スーパーサイエンスデーを実施し、第1部は、夏季休業中に鈴鹿医療科学大学にて行った研究の成果発表会として、6グループよりパワーポイントにてプレゼンテーションを行った。発表ではクイズ形式を取り入れて会場とのやり取りを行うなど工夫も見られ、参加者との間での質疑応答の後、同大学の先生方による講評をいただいた。
 第2部は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)より、広報部 特任担当役の大嶋龍男様をお招きし、「国際宇宙ステーションと宇宙開発」という演題で講演会を実施した。「宇宙とはどんな所」に始まり、専門的な内容を大変わかりやすく説明いただくとともに、ロケット打ち上げや国際宇宙ステーション「きぼう」での生活の様子などの貴重な映像も見せていただいた。
 生徒たちにとっては、午前の部で達成感を味わうとともに、午後はJAXAの方から間近にお話を聞くことができ、質疑応答も熱心に行われるなど大変有意義な「科学漬け」の一日となった。また、Mie SSHの趣旨に基づき校外にも広く参加を呼びかけたところ、保護者、中学生、他校教員等約100名の参加があった。

(6) ロボット・プログラミング講座
 ベネッセおよびマイクロソフト社が主催する本講座を、2月11日(水)に出前講座として本校にて実施した。グループごとに四足歩行ロボットのキットの組立からはじめ、右腕・左腕・右脚・左脚の動かし方のプログラミング方法を講義にて学んだあと、それぞれのグループで動かし方を考えてプログラミング作業を行った。各グループで考えた動きをロボットにさせるプレゼンテーションに続き、最後にグループ対抗の歩行レースを行った。実際にやってみるとまっすぐに歩かせることもなかなか難しいのだが、ほぼまっすぐに歩かせただけでなく、とても早くゴールできたグループもあって講師の方よりお褒めの言葉をいただき、達成感いっぱいの一日だった。
ロボット・プログラミング講座 ロボットの組み立て
ロボットの組み立て
ロボット・プログラミング講座 プログラミング作業
プログラミング作業
ロボット・プログラミング講座 プレゼンテーション
プレゼンテーション
ロボット・プログラミング講座 グループ対抗歩行レース
グループ対抗歩行レース

(7) Mie SSH生徒成果発表会
Mie SSH生徒成果発表会 「ゲノム」についての発表
「ゲノム」についての発表
Mie SSH生徒成果発表会 活発な質疑応答
活発な質疑応答
 2月14日(土)、生徒成果発表会において、パワーポイントによるプレゼンテーションを行った。11月に本校スーパーサイエンスデーにて発表したレポートの中で、最も優れていたと判断された「ゲノムがわかれば病気がわかる!?」というテーマのレポートが発表された。また、発表後の質疑応答も活発に行われた。本校を含め5校のMie SSH指定校からの発表と2校のSSH指定校によるポスターセッションがあり、いずれも大変興味深く、お互いによい刺激になった。

4 研究の成果と課題
  (1) 成果の検証
 各種の実験・実習等に参加した生徒自身による行動変容等を図る自己評価アンケートの実施。
 以下の各項目について、「そう思う」「ややそう思う」を合わせた割合

【PART 1】意識や効果について
 1理科・数学の面白そうな取組に参加できた。100%
 2理科・数学に関する能力の向上に役立った。95%
 3理系学部への進路選択に役立った。65%
 4大学進学後の志望分野探しに役立った。65%
 5将来の志望職種探しに役立った。80%
 6国際性の向上に役立った。85%
 
【PART 2】意欲について
 1科学技術に対する興味・関心・意欲が高まった。95%
 2科学技術に関する学習に対する意欲が高まった。95%
 
【PART 3】興味、姿勢、能力について
 1未知の事柄への興味(好奇心)が増加した。100%
 2理科・数学の理論・原理への興味が増加した。95%
 3理科実験への興味が増加した。85%
 4観測や観察への興味が増加した。90%
 5学んだ事を応用することへの興味が増加した。90%
 6社会で科学技術を正しく用いる姿勢が身についた。85%
 7自分から取り組む姿勢(自主性、やる気、挑戦心)が身についた。85%
 8周囲と協力して取り組む姿勢が身についた。90%
 9粘り強く取り組む姿勢が身についた。90%
10独自なものを創り出そうとする姿勢(独創性)が身についた。85%
11発見する力(問題発見力、気づく力)が身についた。80%
12問題を解決する力が身についた。85%
13真実を探って明らかにしたい気持ち(探究心)が身についた。90%
14考える力(洞察力、発想力、論理力)が身についた。100%
15成果を発表し伝える力(プレゼンテーション等)が身についた。100%
16国際性(英語による表現力、国際感覚)が身についた。60%

Mie SSH生徒アンケートPART1

Mie SSH生徒アンケートPART2

Mie SSH生徒アンケートPART13

5 まとめ
 Mie SSH事業に参加した生徒には大変有意義であり得るものが多かった。
 自己評価アンケートでは、特に「科学技術に対する興味・関心が高まった」、「考える力、成果を発表し伝える力が身についた」という項目で非常に高く、所期の目的はほぼ達成されたと考えられる。
 来年度が本事業の最終年度に当たるが、校内体制を見直し理数科の取組と一体化させることにより、Mie SSHが学校全体のものとなり本校の更なる活性化につながるよう取り組んでいきたい。